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The Inter-University Athletics Union of Japan

種目ごとの観戦ポイント

100m

 スタート前の一瞬の静寂。号砲と同時に解き放たれる10秒間の力の爆発。まさに、陸上競技の花形といえるこの種目。
 男子では、ユニバーシアード代表の諏訪達郎、昨年日本選手権3位の女部田祐、昨年アジアジュニア金メダリストの川上拓也ら、中央大勢がランキング上位を占める。対するは、関東ICで2位に入るなど好調の長田拓也(法政大)や一昨年のカザンユニバーシアード代表の与那国塁(中京大)。近藤晃(関西学院大)ら1年生もランキング上位に多数食い込む。湘南の追い風に乗り、流れを制せば好記録も期待できる。
 女子では、青木益未(環太平洋大)、藤森安奈(青山学院大)、青山聖佳(大阪成蹊大)と、昨年のアジア大会代表が3名エントリーした。特に藤森は、昨年、本大会と日本ICの2冠を達成。本大会は連覇を狙っての出場となる。ランキングトップは、1年生ながら足立紗矢香(青山学院大)。昨年の日本ジュニアを制した松本沙耶子(都留文科大)、昨年の日本IC2位・3位の宮澤有紀(富山大)・丹羽愛利彩(中京大)など、実力者が多数。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1女部田 祐中央大10.251足立 紗矢香青山学院大11.66
2川上 拓也中央大10.332宮澤 有紀富山大11.68
3長田 拓也法政大10.352丹羽 愛利彩中京大11.68
4与那国 塁中京大10.352青木 益未環太平洋大11.68
4近藤 晃関西学院大10.365藤森 安奈青山学院大11.70

200m

 スプリントの花形、100mに比べて地味な印象のこの種目だが、実は、曲走路の走りが勝負を分ける、速さと技術がものを言う味のある種目でもある。
 男子のランキングトップは、猶木雅文(中央大)。今年はまだ納得のレースが出来ていないが、実力は十分で、自己記録に近い記録を出せば、昨年大瀬戸一馬(法政大)の出した大会記録の更新も期待できる。対するは、関東以外の短距離陣では最強と目される寺田健人(中京大)。東海ICでは100mを10秒41で制し、調子は悪くない。森雅治(大東文化大)や日吉克実(中央大)など、昨年ジュニア世代の一線で活躍したメンバーにも力がある。
 女子では、ランキングトップは、青山聖佳(大阪成蹊大)。松江商高時代の昨年、全国IHで200mと400mの2冠(100mは2位)、アジア大会代表など躍進を遂げ、今年に入っても、ワールドリレーズ・アジア選手権等、国際大会代表に軒並み名を連ねているマルチスプリンター。対するは、昨年の日本ICチャンピオン・土橋智花(岩手大)や、3年連続出場で一昨年の本大会チャンピオンのチャイニーズ・タイペイ、徐詠潔(国立台湾師範大)らか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1猶木 雅文中央大20.441青山 聖佳大阪成蹊大23.86
2寺田 健人中京大20.692塩谷 寛美駿河台大23.92
3森 雅治大東文化大20.713中村 水月大阪成蹊大23.99
4猪口 悠太法政大20.734土橋 智花岩手大24.16
5徳山 黎早稲田大20.835佐藤 日奈子大東文化大24.22
5久貝 瞳園田学園女子大24.22

400m

 短距離種目では最長のこの種目。トラック1周を50秒以内で駆け抜けるが、最後の直線は、選手にとっては永遠に感じられると言う。
 男子では、ランキング最上位の堀井浩介(城西大)が、関東ICで2位に入るなど、今年一気にブレイク。関東ICでの4×400mR城西大初制覇の原動力となり、勢いに乗っている。対する油井快晴(順天堂大)は、高校時代から抜群の成績を誇り、昨年の世界ジュニアでは4×400mRでジュニア日本記録を達成したメンバーに入った。今季は故障で出遅れていたが、関東ICの4×400mRで復帰。この大会に完全復活を賭ける。
 女子では、昨年、高校生ながら日本選手権を制した松本奈菜子(筑波大)がランキングトップ。学生で初タイトルにも期待。今年の関東ICでその松本らを破って初優勝を果たしたのが、ランキング2位の新宅麻未(中央大)。一昨年の本大会では2位で惜しくも逃した学生初の全国タイトル獲得を目指す。一昨年大会でその新宅を破って優勝したのが、名倉彩夏(中京大)。一昨年・昨年と本大会2連覇中で相性の良い大会。好記録での3連覇を狙う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1堀井 浩介城西大46.151松本 奈菜子筑波大53.59
2油井 快晴順天堂大46.682新宅 麻未中央大54.06
3矢野 琢斗法政大46.693森 美悠日本体育大54.44
4茅田 昂慶應義塾大46.704西田 文香神戸大54.64
5福永 拓哉日本大46.715樫山 楓至学館大55.00

800m

 400mトラックを2周。最初から引っ張るか、最後のスパートに賭けるかなど、駆け引きが非常に重要な種目で、心技体すべてが要求される。
 男子では、近年、日本記録保持者の川元奨などを擁して「中距離王国」の名をほしいままにした日本大勢が、ランキング上位10名のうち4名を占める。しかし昨年以降、関西勢がこの種目で一気に力をつけている。最注目は、昨年の日本ICで川元を破った櫻井大介(京都大)。関西ICで奪われた関西学生記録の奪回も目指す。昨年日本IC3位の田中智則(近畿大)も、関西4回生中距離カルテットの一角。関西勢として初めて、この種目制覇なるか。
 女子では、山田はな(東京学芸大)がランキングトップ。関東ICでは、2分7秒台を2回記録して初優勝。安定した実力を発揮している。対するは、小野莉奈・新宮美歩の福島大勢と、昨年の日本ジュニア覇者・北村夢(日本体育大)。2分7秒台の資格記録を持つこの4名を軸に、優勝争いが展開されそう。昨年まで2年連続して学生が日本選手権を制しているこの種目で、日本トップレベルの戦いに期待したい。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1櫻井 大介京都大1:49.141山田 はな東京学芸大2:07.40
2田中 智則近畿大1:49.452小野 莉奈福島大2:07.58
3保坂 貴昭日本大1:49.543北村 夢日本体育大2:07.77
4田中 言早稲田大1:49.814新宮 美歩福島大2:07.93
5福永 拓哉日本大1:49.875竹内 麻里子中京大2:08.02

1500m

 800mと同様に、頭を使うことも要求される種目。4分間の間に先頭の入れ替わりやスパート合戦など、さまざまな展開が繰り広げられ、見ごたえもある。
 男子では、昨年、1年生ながら本大会を制したラザラス・モタンヤ(桜美林大)が2連覇を狙う。関東ICは欠場し、調子は未知数だが、実力的には一歩抜け出ている。コンディション次第では、大会記録も狙える。対する日本人勢は、関東ICでこの種目日本人トップの冨田三貴らが、モタンヤの連覇阻止を狙う。日本勢としては、モタンヤにいかに序盤からの独走を許さないかがポイントになる。
 女子では、ランキングトップは内山千夏(玉川大)だが、山田日菜野(東洋大)、康本花梨(日本体育大)をはじめ、ランキング上位10名に1年生が4名食い込み、若い力の台頭に期待。新井沙紀枝(大阪学院大)は、10000m・ハーフマラソンでユニバーシアード代表入りしているが、もともとは1500mで実力を磨いてきた選手であり、スピードは十分。高見澤安珠(松山大)は、3000mSCとの2冠を狙える。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1ラザラス・モタンヤ桜美林大3:44.891内山 千夏玉川大4:19.26
2冨田 三貴東海大3:47.202山田 日菜野東洋大4:21.52
3永信 明人神奈川大3:49.643康本 花梨日本体育大4:21.81
4池山 謙太早稲田大3:49.784新井 沙紀枝大阪学院大4:22.91
5生井 宏明東洋大3:49.925白鳥 さゆり順天堂大4:23.12

5000m

 この大会唯一の長距離種目(競歩除く)。今や長距離種目は、言わずと知れた人気種目だが、梅雨時の蒸し暑さに選手が以下に対応していくかにも注目。
 男子は、ランキングトップは、川端千都(東海大)。昨年は世界ジュニアの代表として活躍したが、今季、ユニバーシアード選考会で相次いで好成績を残し、ユニバーシアード代表入り。ユニバーシアードに向けて調子を上げていきたい。さらに、年始の箱根駅伝を制して波に乗る青山学院大勢が多数エントリー。中でも、5000mのランキングは下位だが、ハーフマラソンで日本人学生歴代3位の記録を持つ神野大地には注目が集まる。
 女子では、昨年の世界ジュニア代表・木村芙有加(大東文化大)がランキングトップ。昨年は世界大学クロカンでも学生代表となるなど、大舞台の経験豊富。さらに、ユニバーシアード代表からは、10000m・ハーフマラソン代表の新井沙紀枝(大阪学院大)、ハーフマラソン代表の上原明悠美(松山大)がエントリー。玉城かんな(名城大)、茶谷琴恵(日本体育大)ら、1年生で15分台の記録を持つ選手の活躍にも期待。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1川端 千都東海大13:54.801木村 芙有加大東文化大15:42.40
2石橋 安孝東海大13:55.852新井 沙紀枝大阪学院大15:44.04
3湊谷 春紀東海大13:57.293上原 明悠美松山大15:47.02
4中村 祐紀青山学院大13:57.404唐沢 ゆり日本体育大15:47.95
5安藤 悠哉青山学院大13:57.755玉城 かんな名城大15:48.85

110mH・100mH

 ハードルの高さは、男子では大人の腰くらいの高さ(1.067m)。全身を目いっぱいに使ってハードルを超えていく姿は、迫力を感じさせる。
 男子110mHは、大会史上最高レベルの戦いになる。増野元太(国際武道大)は、昨年、日本選手権・日本ICを制し、アジア大会でも4位に入賞するなど、一気にこの種目の第一人者に。同所属の札場大輝(国際武道大)も、日本IC、今年の関東ICで共に増野に次ぐ2位に入り、実力は十分。さらに、高校記録保持者の古谷拓夢(早稲田大)が、関東ICで敗れたこの2人の間に割って入りたい。13秒台の記録を持つ選手が5人。ハイレベルな記録にも期待したい。
 女子100mHでは、昨年の本大会覇者・青木益未(環太平洋大)と、スーパールーキー・ヘンプヒル恵(中央大)の争いか。青木は、昨年のこの大会を大会新で制すると、アジア大会代表にも選出される躍進の年となった。一方、ヘンプヒルは、京都文教高時代の昨年、日本選手権で3位に入ると、全国IH・日本ジュニアの2冠。今年に入っても、七種競技で日本学生記録を達成し、関東ICでは七種競技と100mHの2冠など、勢いは衰えを知らない。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1増野 元太国際武道大13.581青木 益未環太平洋大13.35
2札場 大輝国際武道大13.812ヘンプヒル 恵中央大13.47
3古谷 拓夢早稲田大13.833田中 杏梨甲南大13.53
4田中 新也筑波大13.924清山 ちさと筑波大13.56
5川村 直也筑波大13.995西野 愛梨東京学芸大13.66

400mH

 400mを走る間に10台のハードルを越える。スピードとハードル技術の両方が問われる。ハードル間を何歩で刻むかなどにも注目してみると、人それぞれで面白い。
 男子では、昨年、日本ジュニア・国体の2冠を達成した栗城アンソニー(国際武道大)がランキングトップ。ランキング上位3名は、いずれも関東ICでは準決勝にも残っておらず、誰が勝つか全く予想できない。むしろ、関西ICを制した上野晃平(同志社大)、2位に入った大林督享(近畿大)ら、関西勢にもチャンスがあるか。いずれにせよ、50秒を切るような学生選手がいない寂しい状況を打破する目覚ましい記録を期待したい。
 女子では、伊藤明子(筑波大)とヘンプヒル恵(中央大)は、高校時代から七種競技で競ってきたライバル。伊藤が昨年のアジアジュニアで金メダルを獲得したのに対し、ヘンプヒルは日本ジュニアで100mHとの2冠。今年は、ともにアジア選手権代表に選ばれている。その2人を上回る資格記録を持つのが、西田文香(神戸大)。関西ICでは、ヤンマースタジアム長居の追い風を味方につけ、好記録をマークした。関西勢初のこの種目制覇を狙う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1栗城 アンソニー国際武道大50.451西田 文香神戸大58.45
2松本 健志中央大50.502伊藤 明子筑波大58.52
3田辺 将大良中央大50.623ヘンプヒル 恵中央大58.59
4大林 督享近畿大50.664王子田 萌立命館大58.80
5坂梨 雄亮中央大50.765羽鳥 玲奈中央大59.46

3000mSC

 3000mの中で障害物を28回、水郷を7回飛び越える、トラックで最も過酷な種目。
 男子では、本命は、昨年1年生ながらこの大会を制した村島匠(順天堂大)。昨年は、アジアジュニアで銀メダルを獲得するなど、1年生ながら目覚ましい活躍だった。関東ICは振るわなかったが実力は十分であり、2連覇の可能性は十分。ランキング2位には、同じ順天堂大の後輩である續木悠也が入る。昨年の全国IHでは2位。関東ICでは1年生最高の6位に入るなど、実績を積み重ねている。
 女子の優勝候補大本命は、高見澤安珠(松山大)。昨年の日本ICでジュニア日本新記録を樹立し、一躍注目を浴びると、今年の兵庫リレーカーニバルで優勝し、アジア選手権代表に選ばれた。学生として史上3人目となる9分台は、もうすぐそこに見えている。一方、兵庫リレーカーニバルで1年生ながら3位に入る大健闘を見せたのが、清水萌衣乃(東京農業大)。高見澤との実力差はやや大きいが、若い力の急成長にも期待したい。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1村島 匠順天堂大8:53.571高見澤 安珠松山大10:00.99
2續木 悠也順天堂大8:55.532瀬川 帆夏大東文化大10:12.14
3宮城 壱成東海大8:57.203三島 美咲松山大10:20.41
4秋間 正輝帝京大8:58.624清水 萌衣乃東京農業大10:21.02
5藤崎 真伍流通経済大9:02.665丹羽 七海中央大10:25.70

10000mW

 今大会唯一の競歩種目。両足が同時にグラウンドから離れていないか(ロス・オブ・コンタクトになっていないか)、前脚が接地の瞬間から垂直の位置になるまでまっすぐに伸びているか(ベント・ニーになっていないか)、よく目を凝らして見てほしい。
 男子は、2年生に好選手が揃った。ランキング上位2名は、共に東洋大の山下優嘉・及川文隆。及川は、昨年のアジアジュニア金メダリスト。ランキング3位の山西利和(京都大)にも、実力は十分。一昨年の世界ユース金メダリストで、今年は日本学生20km競歩選手権で及川を上回る4位に入り、ユニバーシアード選考に最後まで絡んだ。世界と戦える種目だけに、世界レベルの戦いを期待。
 女子では、最も注目すべきは、五藤怜奈(中部学院大)。昨年の本大会を制すると、その後に行われた世界ジュニアでは6位入賞を果たし、日本IC、今年3月の日本学生20km競歩も制し、「学生競歩3冠」を達成した。本大会は、2連覇、そして学生として4つ目のタイトルを狙う。さらに、昨年の世界ジュニアで五藤につぐ7位に入った峰村かな(岩手大)、全国IHでその峰村を破って優勝した松本紗依(順天堂大)など、1年生にも実力者が多数揃う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1山下 優嘉東洋大39:56.781五藤 怜奈中部学院大45:54.07
2及川 文隆東洋大40:05.842峰村 かな岩手大46:22.88
3山西 利和京都大40:40.963高山 瑞佳新潟医療福祉大47:11.13
4山田 康太順天堂大41:09.734八木 望東京学芸大47:38.85
5大内 穂高東京学芸大41:11.245河添 香織立命館大47:42.93
走高跳
 「高さの跳躍」と呼ばれる跳躍種目の1つ。助走のリズムと、スピードを高さに変える技術力、バーに触れずにマットに着地する身のこなしが重要。
 男子では、資格記録上は2m20だが、関東ICで2m28を跳んで世界選手権標準記録を突破した平松祐司(筑波大)に最も注目したい。昨年は、全国IH、国体の2冠を達成し、今年はユニバーシアードの代表にも選ばれるなど、優勝候補の大本命。対抗馬は、本大会2連覇中の佐藤凌(東海大)、昨年の日本ジュニアを制し、北信越ICで北信越学生記録となる2m21を跳んで勢いに乗る大田和宏(金沢星稜大)らか。
 女子は、1年生に実力者がそろった。とりわけ注目は、津田シェリアイ(東大阪大)。昨年の日本ジュニアで優勝すると、今年の静岡国際では、第一人者の福本幸(甲南大AC)らを抑えて1m81の自己記録で優勝した。その津田と静岡国際で競り合い、同記録の1m81ながら敗れたのが、4年生の相馬由佳(愛知教育大)。上級生の意地を見せたい。1年生の仲野春花(早稲田大)は、昨年の全国IHチャンピオン。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1中澤 優東海大2m221相馬 由佳愛知教育大1m81
2大田 和宏金沢星稜大2m211津田 シェリアイ東大阪大1m81
3平松 祐司筑波大2m203仲野 春花早稲田大1m78
4赤松 諒一岐阜大2m184石井 ゆりこ至学館大1m76
5松本 修一福岡大2m174徳本 鈴奈福岡大1m76
棒高跳
 陸上競技の中で、最も「高い」場所で行われる種目。男子では5mをはるかに超える高さまで舞い上がり、見上げる高さのバーに触れもせずに超えていく。男子棒高跳は、フィールド種目で数少ない、日本が世界と戦える種目。
 男子では、一昨年にこの大会で日本学生記録を樹立した山本聖途(当時・中京大)のようなずば抜けた記録を持つ選手はいないが、学生トップレベルの選手が揃った。ランキング最上位は山本智貴(日本体育大)。昨年はゴールデンGPにも出場するなど、トップ選手の仲間入りをした。山方諒平(大阪教育大)は昨年の日本ICチャンピオン。さらに、昨年の全国IH・日本ジュニアチャンピオンである澤慎吾(日本大)も、若い力で学生初タイトルを狙う。
 女子のランキングトップは、昨年の日本IC覇者・榎本優子(筑波大)。自己記録は4m00で、昨年竜田夏苗(武庫川女子大)が達成した4m01の大会記録更新も狙える。さらに、1年生にも、昨年の国体覇者の那須眞由(園田学園女子大)、日本ジュニア覇者の若園茜(筑波大)ら有力選手が多数。近年、男女ともに好記録が出ているこの種目で、ますますハイレベルな争いに期待したい。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1山本 智貴日本体育大5m421榎本 優子筑波大4m00
2鈴木 康太中京大5m302蕪野 亜紀清和大3m80
2山方 諒平大阪教育大5m302鈴木 里菜日本体育大3m80
4澤 慎吾日本大5m252斉藤 希望花中京大3m80
5植松 倫理筑波大5m202間宮 里菜中京大3m80
5船本 稜矢日本体育大5m202那須 眞由園田学園女子大3m80
5榎 将太中京大5m20
5有明 徹也関西学院大5m20
5日置 健也関西学院大5m20
走幅跳
 助走のスピードを跳躍力に変え、宙を舞って砂場に着地する。スピードが肝心だが、空中での姿勢や、1センチ単位での助走開始位置の調整など、細かな技術もものを言う。
 男子では、ランキングトップは、7m77の小田大樹(日本大)だが、7m70を超える資格記録を持つ選手が3名おり、誰が勝つか分からない。特に、城山正太郎(東海大北海道)は、昨年のアジアジュニア・世界ジュニアで共に銅メダルを獲得し、今年もユニバーシアード選考の兵庫リレーカーニバルで学生トップの成績を収めるなど、大舞台に強さを発揮してきた。松添基理(法政大)も、1年生ながら春先から好調で、大学初タイトルも期待できる。
 女子のランキングトップは、中川秋奈(九州共立大)。今年に入って急成長しており、三段跳とともに、本大会2種目で日本人トップの資格記録を持つ。日本GPシリーズでも好成績を収めており、好調をキープしている。対するは、資格記録ランキング2位の利藤野乃花(東京学芸大)。同じ大学の後輩として入学してきた昨年全国IH・日本ジュニア覇者の水口怜に刺激を受けており、関東ICでは東京学芸大で1位・2位を独占した。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1小田 大樹日本大7m771中川 秋奈九州共立大6m18
2松添 基理法政大7m742利藤 野乃花東京学芸大6m11
3城山 正太郎東海大北海道7m723千葉 瑞穂日本体育大6m10
4外川 天寿岐阜経済大7m684原田 彩希九州共立大6m09
5中村 亮中央大7m635福西 穂乃佳京都教育大6m04
5辻本 愛莉香大阪成蹊大6m04
三段跳
 ホップ・ステップ・ジャンプの三段のリズムで、10mを超える距離を稼ぐ。よく観察すると、人によってホップ・ステップ・ジャンプそれぞれで稼ぐ距離の割合も微妙に違っており、そういった細かな違いに目を向けるのも醍醐味の一つ。
 男子では、昨年の本大会覇者で昨年日本選手権でも2位に入っている佐脇匠(愛知教育大)がランキングトップで、2連覇を狙う。佐脇の2連覇を阻止すべく虎視眈々と狙っているのは、昨年の日本選手権では佐脇に敗れて3位だった米澤宏明(筑波大)。この2人を軸に戦いが展開することになれば、日本選手権上位者の争いとなる。湘南の浜風の勢いを借りて、16mを超える好勝負に期待したい。
女子では、チャイニーズ・タイペイから、昨年の優勝者・洪珮寧(国立台湾師範大)が今年も参加。資格記録は、参加選手中で唯一13mを超えており、実力的にはやや抜きん出ているか。それに対するは、走幅跳との2冠も狙える中川秋奈(九州共立大)。さらに、一昨年1年生ながら本大会を好記録で制した剱持早紀(筑波大)も、2連覇を狙いながら洪に敗れた昨年のリベンジを狙う。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1佐脇 匠愛知教育大16m131洪珮寧国立台湾師範大13m17
2米澤 宏明筑波大15m912中川 秋奈九州共立大12m72
3阿比留 明久福岡大15m873一村 リサ電気通信大12m67
4杉岡 優磨中央大15m844剱持 早紀筑波大12m62
5犬井 亮介筑波大15m775永山 優大阪成蹊大12m56
砲丸投
 世界レベルの選手でも20m程度の記録と、投てき種目の中では、地味に思われがちな種目。しかし、砲丸の重さは男子で7.260kgとハンマー投と並んで最も重いため、パワーが非常にものを言う豪快さが魅力でもある。一方、人によって回転投法かグライド投法かが異なるなど、細かい技術面にも注目したい。
 男子では、チャイニーズ・タイペイの林祐霆(台北市立大)がランキングトップ。日本勢では、関東ICで表彰台を独占した日本大勢から、関東IC2位と3位の筒井崇広・武田歴次がランキング上位を占める。チャイニーズ・タイペイと日本の学生トップレベルの選手が平塚の地で競い合う。本大会の醍醐味が見られることになりそう。両国で切磋琢磨し、ハイレベルの記録が出ることを期待したい。
 女子では、太田亜矢(福岡大)が今季に入って急成長を遂げている。4月の選抜陸上和歌山で九州学生史上初となる15mを投げると、その後大会のたびに記録を伸ばし、西日本ICで15m71まで記録を伸ばしてきた。対するは、昨年の本大会覇者であり、昨年日本選手権では3位に入った松田昌己(国士舘大)。関東ICでは4連覇を達成し、最優秀選手にも選ばれた。勢いそのままに、2連覇を狙う。太田と同じ福岡大の西川チカコは、昨年の全国IH覇者。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1林祐霆台北市立大16m881松田 昌己国士舘大15m43
2筒井 崇広日本大16m842太田 亜矢福岡大15m27
3武田 歴次日本大16m523山本 舞大阪体育大15m14
4村上 輝国士舘大16m314ョ俐君国立体育大15m12
5申田 真也東海大16m175佐賀 衣里子東海大14m59
円盤投
 ハンマー投と並んで、ネットに囲まれたサークル内でターンをして円盤を遠くに飛ばす。教科書などで、よく円盤投をしている男性の像の写真が掲載されるように、古代オリンピックからあった歴史ある種目。円盤の重さは、男子2kg、女子1kg。
 男子では、昨年、本大会と日本ICの2冠を達成した安保建吾(東海大)がランキングトップ。今年の関東ICも大会新記録で制し、調子は悪くない。ランキング2位は、同じく東海大の昨年の日本選手権で2位に入った米沢茂友樹。今年も、兵庫リレーカーニバルで安保に勝利するなど、両者の実力は拮抗している。東海大勢の争いに割って入りたいのは、昨年の日本ICで2位・3位に入った小林寛雅(順天堂大)と湯上剛輝(中京大)。
 女子では、唯一50m台の資格記録を持つのが、藤森夏美(順天堂大)。昨年の日本ジュニア覇者で、アジアジュニアでは銅メダルを獲得した。今年に入っても、兵庫リレーカーニバルで学生トップをマークし、関東ICでも他を寄せ付けずに圧勝した。対するのは、関東ICで2位・4位の筑波大コンビ、知念莉子と辻川美乃利か。中村枝理子(鹿屋体育大)、今あかり(北翔大)等、地方大学のランキング上位者にも注目したい。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1安保 建吾東海大55m791藤森 夏美順天堂大50m47
2米沢 茂友樹東海大55m182知念 莉子筑波大47m86
3湯上 剛輝中京大53m623辻川 美乃利筑波大47m66
4小林 寛雅順天堂大52m944中村 枝理子鹿屋体育大47m31
5小岩 晴樹順天堂大51m555石井 明日夏東京女子体育大46m94
ハンマー投
 室伏広治の活躍などで、一番なじみのある投てき種目かもしれない。男子7.260kg、女子4kgのハンマーを60m以上飛ばすには、上半身と下半身のバランスのとれた身体能力が不可欠。なお、ハンマー投のみは、東海大学湘南校舎陸上競技場で行われる。
 男子では、学生トップはその東海大の名城政臣。出身も神奈川であり、完全にホームの環境の中で4年生にしての初タイトルを十分に狙える位置につけている。しかし、ランキング2位の堀健斗(順天堂大)、植松直紀(中京大)も実力的にはほぼ同等であり、緊迫した戦いが期待できる。
 女子では、福島美沙希・本村夏鈴・有本愛美の九州共立大勢が、ランキング上位3名を独占。ランキングトップは福島だが、この3名の争いとなった九州ICでは、有本が56m20の自己記録で優勝した。さらに、本村は昨年の日本ジュニア優勝者であり、3名の実力は拮抗している。佐伯珠実(立命館大)や吉川奈緒(福岡大)らは、九州共立大勢の表彰台独占を阻むことができるか。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1名城 政臣東海大65m081福島 美沙希九州共立大57m54
2堀 健斗順天堂大64m832本村 夏鈴九州共立大57m43
3植松 直紀中京大63m773有本 愛美九州共立大56m20
4木村 太一京都産業大63m724佐伯 珠実立命館大55m66
5根本 太樹流通経済大63m685佐々木 千佳九州共立大55m06
やり投
 近年日本男子の活躍が著しい種目。男子800g、女子600gのやりを投げる。一番「投げている」感はあるが、実は、素人ではまっすぐ投げる事さえ難しい。
 男子では、ランキングトップは、森誉(中央大)。昨年の日本ICを制し、今年の織田記念でも学生トップの成績を残してユニバーシアード代表に選出されている。その森と最後までユニバーシアード代表を争ったメンバーが、ランキング2〜4位の恵良友也(日本体育大)、高橋輝(大阪体育大)、中西啄真(大阪体育大)。近年やり投の層を厚くしているチャイニーズ・タイペイからも古嘉和(私立輔仁大)もエントリーしており、拮抗した勝負が期待される。
 女子は、史上最高レベルの選手が揃った。日本学生歴代2位の自己記録を持つ久世生宝(筑波大)と、歴代3位の記録を持つ山内愛(大阪成蹊大)を軸に進みそう。久世は昨年の日本IC覇者で、昨年の世界ジュニア代表。山内は昨年日本選手権3位、日本IC2位だが、今季一気に自己記録を伸ばし、アジア選手権・ユニバーシアード代表に選ばれた。他にも、昨年の世界ジュニア代表の當間汐織(九州共立大)ら、有力選手を挙げていけばきりがない。
【資格記録上位ランキング】
男子女子
1森 誉中央大75m591山内 愛大阪成蹊大58m76
2恵良 友也日本体育大75m042久世 生宝筑波大57m97
3高橋 輝大阪体育大74m923斉藤 真理菜国士舘大57m90
4中西 啄真大阪体育大74m564加藤 瑞生京都教育大56m54
5古嘉和私立輔仁大74m415當間 汐織九州共立大55m77